2005年 03月 27日 (日)
おおきな木
絵もストーリもシンプルでストレートなのがすばらしいです。 原題は「The Giving Tree」ですが、その通りです。
遊び場を与え、実を与え、枝を与え、幹を与え、ついには切り株になっても与え続けます。 与えすぎです。
小さい頃読んだときは、切り株におじいさんが座っている最後の絵がとても印象的でした。 子供心にもこの木は与えすぎだと思っていたので、もう与えるものがなくなった切り株の時が一番安心できたのかもしれません。
線がじつによい
少年とこのりんごの木が遊ぶ最初の部分は、少年の描かれ方が単純化された線でうまく描かれています。 こういう線の良さにはじっくり見入ってしまいます。 シルヴァスタインの絵本作品のなかでもこの線の良さは群を抜いていると思います。
少年が成長して、たまに木のところに来たときの木の「さあ、ぼうや、あそんでおゆきよ…」という饒舌な誘いは、おじいちゃんやおばあちゃんの誘いみたいでちょっと切ない印象を受けてしまうのは僕だけでしょうか。
「少年が喜ぶなら本当に何でもする」という雰囲気がちょっと鬱陶しいと同時に、そう感じてしまうことがうしろめたいような気分。というような切なさです。
そういうわけで、与えるものがなくなった切り株の木が、もうおじいさんになってしまった少年に腰掛ける場所を与えるだけで喜びを感じるところは、本当に安心できる気がします。
ものをもらうというのはエネルギーのいることですから。
シェル・シルヴァスタイン
この絵本の作者は、童話作家のほかに、詩人、音楽家、漫画家としても知られています。 シルヴァスタイン自身はこの本がそんなに売れるとは思っていなかったということですが、作品の根底に流れる、与える精神というものが高く評価され、多くの国で広く出版されています。
シルヴァスタイン本人としては「なんかいい話になっちゃったけど、僕こんなにいい人じゃないよー」みたいな感じだったかも知れません。

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