





久々に京大美術部の展覧会に行ってきた。 これまで美術部の展覧会からはかなりのインスピレーションを受けてきたので今回は勝手にまとめて公開してみることにした。 基本的にそんなに技術がなくて美術に通じているわけでもないこういう集団の展覧会が非常におもしろいと最近思う。
最初の二つはいつも黒い画面にアクリルで描いている尾原氏の作品だ。 彼は芋版で模様をつけたりするため、いつもパネルに描いているが、最初のはキャンバス地に描かれている。 「張りキャンバスもつかうのか?」と思って裏をちょっと見てみたらやはりパネルにキャンバスを張っているようだ。
手に絵の具をつけてべたべたやったりしていて楽しそうだ。マスキングした正方形や正円の領域に、木の板などで叩いてアクリル絵の具を広げているらしい。 マスキングのエッジと、少し毛羽立った表面と普通ではあまり見ないような絵の具の混ざり方が面白い。 背景が黒なので彼の多用する金、銀の絵の具が際立つ。
これだけ黒いのにダークな雰囲気にならないのは彼の描くモチーフのほんわかしたオーラのせいである。 ほんわかした脱力系のキャラクターたちのドローイングは尾原氏のページで見ることができる。
「『描く過程』が楽しい。結果は大して重要ではない」という理由で絵を描く山内氏は僕とはまったく逆である。(僕は完成した絵がどれだけ魅力的かに関心がある。)
彼女は人物像と風景画の二点を出していたが、絵の具の盛り上がりを見ると今回もかなり楽しんだようだ。 まず人物像をみると写真を見て描いたことが容易に察せられる。対象との距離感が異様に近い。
注目すべきは、影の部分の重ね塗りと色彩である。 普通の明度グラデーションというよりむしろ色相グラデーションの方が強く、クリーム色から濃い青緑色へとナチュラルにグラデーションが施されている。(ある意味ナチュラルハーモニー。) そして重ね塗りはさまざまな色が使われ、かなり重ねられている。 この肌の表現を見て彼女らしいと感じてしまうのは描き方が確立されているということだろうか。 ちなみにその描き方などに関しては山内氏のサイト「ATELIER CACTUS」で詳しく説明されている。
いわゆるアカデミックな描き方では暗いところはあまり塗りこまず、明るい部分を重ねていく。 なぜかといえば、たぶん明るい部分を仕上げに描きこんでいくので、暗い部分を塗り重ねていたら永久に絵が完成しないからでしょう。 うーむ。描き方にまで彼女が絵を描く理由がにじみ出ているようだ。
風景画の方は、まず遠近法の間違いが目に付いてしまう。残念。 手前の建物群がかなり無理している感じである。 しかし、テクスチャは凝っていてちょっとおもしろい。 壁が麻布でフロッタージュしたようなテクスチャになっていたり、厚塗りででこぼこしてる部分があったりする。 描いているときは楽しそうだ。
中西氏がこの作品を出すのは何度目だか知らないが、ちょっとづつ変化しつつ何度も出品されている作品だ。もしかしたらライフワーク? 薄く何度も重ねられた油絵の具が重厚なテクスチャを形成している。
今回は右下に矩形の層が重ねられて女性像がさらに遠のいて感じられる。 あまり変化がないのもつまらないので次回はさらに異質なモチーフを描いた層を重ねてみるというのはいかがだろうか。 有機的な形状に無機的な矩形を持ってくるのもいい考えだが、意味的展開としてエロスに対するタナトスを描くとか…(ああ、実に陳腐な発想)
※ブンピカ、BOXなどでずいぶん前から見ていたので何度も出しているものと思ったら、今回初出品らしい。 でも、もう見飽きました。
これは誰の作品だか忘れたが割と若い方の作品。 特筆すべきは構図ではなく画材だ。 もちろん斜めにしたキャンバスはあまり見ないが、このモチーフと斜めの画面はどう見てもアルバムに貼ったスナップ写真である。水平線が水平になっていないのも気になるところだが、あえて「斜め」という点にはこれ以上触れないでおく。
それより興味深いのはこれが砂で描かれているところ。 最近切り絵みたいなこともしていたので砂も使ってみたいと思っていたからだ。 色のついた砂で描いた絵といえば、お土産などで砂の入ったガラスの小瓶。 たいてい砂浜とやしの木が描かれている。 これに倣うなら接着剤で絵を描いて砂をふればよいだろう。
ところが、この作品は異様に砂の層が厚い。1cm近くあるのではないだろうか。 砂が粗いというのもあるのかもしれないが、なぜこんなに分厚いのかはぜひとも聞いてみたい点だ。 技法的に簡単なら盗ませていただきたい。
ウェットインウェットで油絵をスケッチ的に使うのが上手な高村氏が紙粘土?を使った半立体を出してきた。 彼女のモチーフの選び方はいつも謎だが、今回が画材も謎。
顔は1cm以上盛り上がっている。そしてまつげが『生えている』。 しかしよく見るとこれはただのつけまつげだ。 一本一本生えていたらもっと感動しただろう。眉毛も生えていたら言うことはない。 そこまでは求めないが、顔とキャンバスの色がグラデーションになっていたら顔も生えている感じがしたかも。 (何を求めているんだ?)
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