「格子模様テクスト」について
今展の方向付けやルールなどが「格子模様テクスト」として作品のひとつのようにして展示された。しかし、これらの内容はそのほとんどが作品が出来上がってから書いたあと付けである。
出来上がってきた作品群を批評するようにしてこのテキストは生成されている。
作品を作る時点でも描きかけの絵を批評しつつ完成へと導いていくのだから、改めで文章化する作業は大して苦でない。むしろ楽しい。
「格子模様テクスト」を展示する意義
作品一つ一つは比較的地味で圧倒的な自己主張というものはないが、同じルールによる作品を多数並べるとそれなりの力を発揮する。
作品群として見られるため、ひとつの作品は他の作品の一部であり、他の作品はひとつの作品の一部でもある。作品に外部のものを取り込むひとつの手段かもしれない。
「格子模様テクスト」は作品の解説という意味での外部であると同時に、ルールを掲示することにより作品群という外部を意識させるためのものとなっているのだ。
「格子模様テクスト」の情報過多的側面
「格子模様テクスト」の内容の大半はある意味、必要のない情報である。
インターネットでモノを売るためには商品に関する付加的な情報が必要であるらしい。
売れてるサイトの共通項は情報過多的宣伝方法のようだ。
ネットで必要とされているのは必要のない情報ということ。
さらに、ネットサーフィンを楽しむ現代人は情報過多に鈍感で不要な情報の洪水に慣らされている。
格子模様展はそのような表層を滑り落ちる鑑賞にも耐えるつくりになっている。
題名を見て、テクストを見て、一通り納得して帰っていく。
それで充分である。ただ、そのようにして与えられている情報のほとんどがアトヅケの適当理論でひどい誇張だったりすることを知れば、さらに楽しめるのではないだろうか。
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